修士課程の学生に対する私の指導方針
研究テーマは相談して決めます。研究テーマは自分で考えた方が楽しいと思いますので、なるべく与えないようにします。特に、研究者になりたい学生は修士課程のうちから研究テーマを考える習慣をつけた方が良いと思っています(私は学部生の頃から研究テーマを自分で考えていました。その経験から研究テーマを考えるのも訓練が必要だと思っています。ある程度経験を積むと、あっという間に論文にできる研究テーマは簡単に思いつくようになりますし、難しめの研究テーマも意図的に思いつくことができるようになります。つまり、研究テーマを考える経験を積むと、いくらでも世の中で誰もやっていない研究テーマを思いつける状態になるので、その訓練を是非ともして欲しいと思っています。)。しかし、特にこれをやりたいと思う研究テーマが思い浮かばない学生に対しては以下のテーマのどれかを選択してもらって私が考えた研究テーマに取り組んでもらいます(テーマを考えることができなかった、、、と悲観的にならなくて良いです。私の研究テーマに取り組んでいるうちに、自分でもテーマが考えられるようになるかもしれませんし、私のテーマを進めて頂けたら私も嬉しいです。)。
- 最適化理論のシステム制御理論への応用:リーマン多様体上の最適化理論、近接写像の理論、劣モジュラ最適化理論などで、どのようなシステム制御の問題が解決できるかを研究します。
- システム制御理論の最適化理論への応用:ハイブリッドシステムや受動性に関するシステム制御理論の成果などを利用することで、どのような最適化問題を効率的に解くことが可能になるかを研究します。
- システム制御のためのデータ駆動型モデリング:時々刻々と取得されるデータからシステムを制御する際に有効なモデルを構築する方法を最適化、機械学習、数値解析などの知見を利用して研究します。
研究テーマの方向性が決まった段階から適宜ミーティングをします(10日に1回2時間程度)。基本的には進捗を報告してもらい、それに基づいて議論して研究テーマを明確にしていきます。これをはじめて3,4ヵ月で研究テーマを一つ確定させたいと思っています。
修士課程で私の学生になりたい人へ
私を指導教員として選択し、東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻の入試を突破してきてください(受け入れ可能人数は2、3人です。)
入試に合格できる能力があれば、すぐに研究に取り組めると思います。しかし、入試で出題されることのない多様体論やシステム制御理論などをある程度勉強していると、私のもとで研究に取り組みやすくなると思います。以下の本の内容は研究で使う可能性が高いので、参考にしてください(以下の本の内容が好みなら私の学生に向いているかもしれません)。

Optimization Algorithms on Matrix Manifolds (English Edition)
- 作者:P.-A. Absil,R. Mahony,Rodolphe Sepulchre
- 出版社/メーカー: Princeton University Press
- 発売日: 2009/04/11
- メディア: Kindle版

Introduction to Smooth Manifolds (Graduate Texts in Mathematics)
- 作者:John Lee
- 出版社/メーカー: Springer
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: ハードカバー

Introduction to Riemannian Manifolds (Graduate Texts in Mathematics)
- 作者:John M. Lee
- 出版社/メーカー: Springer
- 発売日: 2019/01/14
- メディア: ハードカバー

Dynamic Mode Decomposition: Data-Driven Modeling of Complex Systems
- 作者:J. Nathan Kutz,Steven L. Brunton,Bingni W. Brunton,Joshua L. Proctor
- 出版社/メーカー: Society for Industrial and Applied Mathematics
- 発売日: 2017/01/26
- メディア: ペーパーバック

- 作者:Stephen Boyd,Lieven Vandenberghe
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2004/03/08
- メディア: ハードカバー

First-Order Methods In Optimization (MOS-SIAM Series on Optimization)
- 作者:Beck, Amir
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: ペーパーバック

L2-Gain and Passivity Techniques in Nonlinear Control (Communications and Control Engineering)
- 作者:Arjan van der Schaft
- 出版社/メーカー: Springer
- 発売日: 2018/07/05
- メディア: ペーパーバック

Matrices and Matroids for Systems Analysis (Algorithms and Combinatorics)
- 作者:Murota, Kazuo
- 発売日: 2009/11/18
- メディア: ペーパーバック
博士課程の学生に対する私の指導方針
・研究テーマは相談して決めます。しかし、修士課程の場合とは異なり、私から研究テーマを与えることはありません。以下の私の研究テーマに近ければ近いほど、私からも色々助言ができると思いますが、全然違うテーマでも私が面白いと思えば良いです(全然違うテーマの場合でも私が面白いと感じたら、私も必死に勉強します。そもそも私が面白いと思わないテーマを研究したい場合は私ではない人に師事した方が良いと思います。)
- 最適化理論のシステム制御理論への応用:リーマン多様体上の最適化理論、近接写像の理論、劣モジュラ最適化理論などで、どのようなシステム制御の問題が解決できるかを研究します。
- システム制御理論の最適化理論への応用:ハイブリッドシステムや受動性に関するシステム制御理論の成果などを利用することで、どのような最適化問題を効率的に解くことが可能になるかを研究します。
- システム制御のためのデータ駆動型モデリング:時々刻々と取得されるデータからシステムを制御する際に有効なモデルを構築する方法を最適化、機械学習、数値解析などの知見を利用して研究します。
・10日に1回くらいの頻度で進捗を報告してもらい、その報告に基づいて私も色々考えて役立ちそうなことをフィードバックしたいと思います(1回あたり2時間程度)。
博士課程で私の学生になりたい人へ
・修士課程の場合とは異なり、私にメールなどで連絡してください。その際に、研究テーマを相談して決めたいと思います。上でも書きましたが、私は研究テーマを与えないので、私に博士課程で研究したいテーマを提案してください。ここで研究テーマの方向性が決まったら私の学生になることを私は許可します(数理情報学専攻内部の修士課程の学生の場合は試験免除で博士に進めますが、外部の場合は試験がありますので試験に合格してもらう必要があります)。
・半年に一本以上の頻度で論文書くペースで研究してもらいたいと思っています。
・修士課程の学生に対して紹介した上の本の内容を知らなくても、本を読めば理解できる程度の能力は期待しています。
どこで研究活動することになるのか
私は東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻の第5研究室に所属しているので、第5研究室の学生部屋で主に研究活動することになると思います。私は今のところシステム制御理論風味の研究を中心にしていますが、ほとんどのメンバーは最適化理論や機械学習の研究をしています。ということで、私の学生になったら最適化や機械学習にも自然と詳しくなれるという特典が付いてくるかと思います。